「リモコンの設定温度を20℃にしているのに、全然冷えないんです…」
今回はそんなご相談から始まった、ビル用マルチエアコンの点検事例をご紹介します。
システム構成
ビル用マルチエアコン
メーカー:ダイキン
室外機:RXYP335CA(12馬力)
室内機:FXYCP22MA ・FXYFP36MD・FXYFP71MD ・VKMP50GAM
■現場確認スタート
お客様から「冷えない」と言われている室内機を確認したところ…
リモコン設定温度:20℃
吸込温度:25℃
吹出温度:25℃
吸った空気をそのまま出してるだけでまったく冷えてません。
本来なら、設定温度より室温が高ければ冷房が作動し、吹出温度は10℃前後になるはずです。
■サーモ制御の仕組みとは?
エアコンの冷房動作は、設定温度に対して以下のように制御されています。
設定温度20℃の場合
- 室温が21℃ → サーモON(冷房開始)
- 室温が19℃ → サーモOFF(冷房停止)
つまり、室温が25℃もあるのに冷房が効いていないのは異常な状態です。
■ 点検データをチェック
それでは点検していきましょう!
対象の室内機リモコンで、運転データを確認していきます。
項目 | 点検時の値 | 通常時の目安 |
EV開度 | 2000Pls(最大) | 300~500Pls |
吸込温度 | 25℃ | 25℃ |
液管温度 | 25℃ | 5~10℃ |
ガス管温度 | 25℃ | 10~15℃ |
このデータから冷媒が流れていないことがわかります。
■ 原因は…電子膨張弁の不良!
ここが今回のキモです👇
・基板からは「冷房動作せよ!」と信号が出ていて、EV(電子膨張弁)を最大開度にしている
・にもかかわらず、冷媒が流れていない
・電子膨張弁が実際に開いていない
つまり、まず疑うべきは電子膨張弁コイルの不良です。
■ 修理の流れと注意点
🔧 第一段階:コイル交換
電子膨張弁コイルを交換し、冷えるようになればコイル不良で確定。
ほとんどの場合、これで復旧します。
🔧 それでもダメなら:弁体本体の交換
弁体本体そのものの不良の可能性があります。
この場合は、冷媒回収を伴う冷凍サイクルの大掛かりな修理となります。
■ まとめ
「設定温度を下げても冷えない」
「風がぬるい」
「エラーも出ていないけど効きが悪い」
そんな症状、室内機側の電子膨張弁不良の可能性があります。
■ ビル空調の修理・点検はお任せください!
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