「リモコンの設定温度を20℃にしているのに、全然冷えないんです…」
今回はそんなご相談から始まった、ビル用マルチエアコンの点検事例をご紹介します。
■システム構成
ビル用マルチエアコン
メーカー:ダイキン
室外機:RQYP140B(5馬力)
室内機:FXYCP56M ×2
■現場確認スタート
お客様から「冷えない」と言われている室内機を確認したところ…
・リモコン設定温度:20℃
・吸込温度:27℃
・吹出温度:27℃
吸った空気をそのまま出してるだけでまったく冷えてません。
本来なら、設定温度より室温が高ければサーモON、吹出温度は10℃前後になるはずです。
■サーモ制御の仕組みとは?
エアコンの冷房動作は、設定温度に対して以下のように制御されています。
設定温度20℃の場合(ディファレンシャル1℃の場合)
・室温が21℃ → サーモON(冷房開始)
・室温が19℃ → サーモOFF(冷房停止)
つまり、室温が27℃もあるのに冷房が効いていないのは異常な状態です。
■ 点検データをチェック
対象の室内機リモコンで、運転データを確認していきます。
| 項目 | 点検時の値 | 通常時の目安 |
| EV開度 | 200Pls(最小) | 300~500Pls |
| 吸込温度 | 27℃ | 27℃ |
| 液管温度 | 35℃ | 5~10℃ |
| ガス管温度 | 27℃ | 10~15℃ |
このデータから液管温度が高くなっていることがわかります。
■ 原因は…液管サーミスタの狂い(高く温度を検知してしまっている)
ここが今回のキモです‼︎
・液管サーミスタが高く狂っているから
・湿り運転で圧縮機が壊れないように保護制御しなきゃ
・冷やさなきゃいけないけど、保護制御で膨張弁開度200Pls(最小開度)に制御‼︎
つまり、まず疑うべきは液管サーミスタです‼︎
■ 修理の流れと注意点
液管サーミスタを交換し、冷えるようになれば確定。
ほとんどの場合、これで復旧します。
それでもダメなら:制御基板(ほぼほぼない)
■ まとめ
「設定温度を下げても冷えない」
「風がぬるい」
「エラーも出ていないけど効きが悪い」
そんな症状、室内機の液管サーミスタ不良の可能性があります。
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